脂肪注入豊胸は経過で小さくなる?1年後も定着を維持させる方法
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「脂肪注入豊胸って、術後いつかは小さくなるの?」
脂肪注入豊胸を検討する際に誰もが一度は不安になるのではないでしょうか。「せっかく注入した脂肪が吸収されて、お金の無駄だった…」なんて経験談を目にすると、不安が増してしまいますよね。
確かに、脂肪注入豊胸はピーク時から少しは小さくなります。ただ、正しい知識を持っていれば、最大限に脂肪を定着させ、理想のバストを手に入れることは可能です。
この記事では、脂肪注入豊胸でサイズダウンしてしまう原因とその対策について、豊胸専門クリニックの医師が解説します。脂肪注入の成功率を上げる秘訣として、ぜひ参考にしてみてください。
脂肪注入豊胸とは
脂肪注入豊胸とは、太ももやお腹など、ご自身が脂肪を減らしたい部位から余分な皮下脂肪を採取し、胸部に注入する施術です。本物のバストのボリュームになっている自己脂肪を使うため、異物反応が起こりにくく、形・触り心地・動きのすべてで自然な仕上がりが得られるといったメリットがあります。
また「左右差を改善したい」「デコルテにもボリュームを出したい」などの細かいニーズにも応えられる点も、人気の理由のひとつです。
脂肪注入豊胸の術後に小さくなったと感じる原因
脂肪注入豊胸は、注入した脂肪がしっかり定着することでバストアップ効果が維持されます。一度定着すれば、その後にバストが小さくなることはまずありません。それにも関わらず、どうして小さくなったと感じてしまうのでしょう?理由は2つ考えられます。
脂肪が100%定着するわけではないため
注入した脂肪すべてが定着するわけではなく、その何割かは体内に吸収されます。施術内容や個人差などが関係するため一概には言えませんが、注入した脂肪の約20~50%は吸収されるとお考えください。脂肪は3~6ヶ月ほどかけて定着するため、その間に吸収される脂肪が多いほど、仕上がったバストは手術直後に比べて小さくなってしまいます。
腫れを伴うピーク時の印象が残っているため
脂肪注入後しばらくのバストは、麻酔液や腫れの影響から、注入した脂肪のボリュームよりも大きくなっています。注入脂肪だけのサイズアップを100%とした場合、150%くらいの大きさになるとイメージしてください。
ただし、その状態が完成サイズではありません。ダウンタイム症状が落ち着いたら、脂肪以外のボリュームは当然なくなります。さらに吸収される脂肪もあるため、150%から80%、少ないときは50%まで変化します。そのため、「半分になった」「元に戻ってしまった」と感じてしまうことがあるのです。
脂肪注入豊胸で定着しやすい人としにくい人の違い
脂肪注入はたくさん注入すれば良いというものではありません。人それぞれ許容量があり、限度を超えると脂肪はぎゅうぎゅう詰めになります。そうした状態では酸素や栄養が脂肪に行きわたらず、定着率は激減してしまうのです。
その許容量を左右するのが、皮膚の伸び具合です。皮膚が伸びやすければ膨らむ余地がありますが、伸びにくい場合は少しの注入量でもすぐにパンパンになってしまいます。以下に詳しく解説します。
授乳後は定着しやすい
妊娠から授乳後までのバストサイズの変化で、皮膚は一度大幅に伸びているため、許容量は格段に増えています。そのため、授乳後のバストは脂肪が定着しやすいのです。実際、授乳経験があるかどうかは脂肪注入豊胸後のボリューム保持率に大きく影響するという研究報告もあります[1]。
許容量の点で言えば、シリコンバッグ除去後も、同様の理由で脂肪注入豊胸の良い適応です。また、2回目以降の脂肪注入でも、腫れなどで一度皮膚が伸びているため、1回目より定着は良好です。
乳頭から乳房下縁までの距離が短いと定着しにくい
反対に皮膚が伸びにくい人の特徴として、痩せ型だったり、乳頭から乳房下縁(バージスライン)までの距離が短いということが言えます。経験からの感覚値ではありますが、乳頭から乳房下縁の距離が5cm以下だと特に皮膚が伸びにくい傾向にあります。
では、こうした皮膚が伸びにくい人は脂肪注入豊胸が受けられないのかというと、そうではありません。注入スペースを広げる工夫を行えば、注入量を増やし、定着を高めることが可能です。
「確実にサイズを保ちたい」ならハイブリッド豊胸もおすすめ
脂肪注入豊胸は、どうしても注入した脂肪の一部が吸収されてしまうため、サイズアップは1~1.5カップほどが一般的です。また、手術の質や術後の過ごし方などでも吸収される脂肪量は違ってくるので、完成サイズを予想しづらい点がデメリットではあります。そのため「自然な仕上がりだけど、確実にサイズは維持したい」という方には、ハイブリッド豊胸という方法もあります。
当院では脂肪注入と同じくらい、より自然でより大きいバストアップにこだわった「プレミアムハイブリッド豊胸」を得意としています。患者様の希望に合わせた最適な豊胸プランをご提案していますので、気になる方はぜひカウンセリングでご相談ください。
脂肪注入豊胸の経過が分かるビフォーアフター
どのくらいのサイズ変化があるのかは言葉では伝わりづらいので、実際の脂肪注入豊胸の症例でご確認いただきましょう。
脂肪注入豊胸から3カ月後までの経過
年齢とともにデコルテが削げてきたことにお悩みで来院されました。1か月後に小さくなっているように感じますが、1週間後はまだ腫れによるボリュームがあるため、この時期はどのケースでも違いを感じやすい時期なのです。ゲストも「確実にバストアップできた」と喜んでくださり、2回目の脂肪注入もご予約いただきました。
脂肪注入豊胸から1年後までの経過
痩せ型のゲストでしたが、「せっかくやるならしっかり大きくしたい」というご希望だったこともあり、乳房拡張器を併用しています。こちらのケースも豊胸直後にもっとも大きく、その後少し落ち着いていますが、術前と比較すると1年経ってもしっかりボリュームアップを維持できていることが確認できます。
脂肪注入豊胸を2回行ったケースの経過
1回目で柔らかさと自然さに大変満足くださり、2回目をご要望いただいたゲストです。脂肪注入では基本、血流の増加や皮膚の伸びが得られているため、2回目の方が定着が良くなります。ビフォーとの違いは歴然ですが、1回目の豊胸後と比べても、定着期にサイズダウンはほぼなく、バージスラインがさらにくっきり出ています。
下着の浮きがなくなり、ビキニもキレイにキレイに着れるようになったと喜んでいただけました。
当院の脂肪注入豊胸のポイント【最大限に定着させる方法】
ご覧いただいた症例のように、脂肪注入豊胸もきちんと大きくすることはできます。ただ当院には「他院で脂肪は定着しないから大きくならないと言われた」とご相談に来られる方が少なくありません。
確かに、15年ほど前までは、定着率の低さが脂肪注入豊胸の課題でした。ただ、時代は変わっています。脂肪の加工方法や医師の技術力次第で、注入した脂肪を最大限に活かすことができるのです。
ポイント①良質な脂肪を使用
注入脂肪に不純物や老化で肥大化した細胞が含まれていると、そもそもの細胞数が少ない上に脂肪が壊死しやすく、定着率は低くなります。当院では、コンデンスリッチファット(CRF)の使用でその問題を回避しています。
CRFは、採取した脂肪を専用の機器で適切な荷重をかけながら遠心分離し、良質な細胞だけを濃縮(コンデンス)した脂肪です。老化細胞まで除去することで1ccあたりの細胞密度が高まり[2]、壊死のリスクが少ない高い品質の脂肪細胞を、よりたくさん注入できます。
ポイント②注入スペースを広げる技術
バストトップからバージスラインの距離が短いと脂肪が定着しにくいとお話しましたが、当院では形成外科で用いられているリゴトミー法で解決しています。
リゴトミー法とは、マイクロニードルで刺さすことで組織の結合を切って緩めるテクニックです。この技術でバージスラインの位置を下げれば、下乳の注入スペースが拡張されるので、無理のない脂肪注入が可能になります。加えて、下乳にボリュームが出て、バストがキレイな形に仕上がるという点もメリットです。
ポイント③血流を増加させる工夫
脂肪の定着には、脂肪に栄養を運ぶ血流が欠かせません。その点でも乳房拡張器を導入しており、対策は万全です。
乳房拡張器とは、バストにドーム状の器具を装着して陰圧をかけることで、組織を引っ張って広げる医療機器です。バスト全体の注入スペースを拡張できることに加え、血流促進作用や幹細胞の活性化が得られるため[3][4]、術前後の着用で脂肪の定着に有利な環境を整えることができます。皮膚が伸びにくい痩せ型のゲストにとても有効です。
ポイント④細く長く何層にも注入
良質な脂肪を使って、皮膚の伸展に合った脂肪量を注入しても、注入技術がないと脂肪を最大限に活かすことはできません。なぜなら、注入した脂肪の直径が2.4mm以上だと、酸素や栄養が届かず壊死してしまうからです[5]。
そのため当院では、直径2mmの針孔の注入用カニューレを用い、細く長く注入するΦ2.4mmヌードルインジェクション技術を用いて行います。1ccを直径2mm以下で30cmほどの長さで注入することが理想的です。この技術で皮下、乳腺下、大胸筋内、大胸筋下と様々な層に分散注入することで、脂肪を最大限に活かすことができるのです。
脂肪注入豊胸でサイズダウンさせいない日常生活での注意点
豊胸手術の成功は、医師とゲストの共同作業で得られるものです。良い脂肪を使ったり、技術を駆使して壊死やしこりを回避しても、術後の生活次第で定着が悪くなってしまうことがあります。そのため脂肪注入豊胸を受けられる皆さまは、以下の点にご注意いただくようお願いします。
術後3ヵ月はダイエットしない
脂肪を定着させるには、細胞が生きる上で必要な栄養をきちんと確保する必要があります。しかし、術後に痩せてしまうと、定着に必要な栄養が足りなくなってしまいます。
脂肪注入豊胸後は、1kgは体重が増加するよう、炭水化物やタンパク質などカロリーの高い食べ物を意識して摂取するよう、当院のゲストにもお伝えしています。
喫煙しない
タバコのニコチンには血管を締め付ける作用があるため、喫煙することで血行不良を起こし、脂肪へ十分な栄養や酸素が届かなくなる可能性があります。そのため、当院で脂肪注入豊胸やハイブリッド豊胸を受けられたゲストには、3カ月間は禁煙、難しければ減煙していただくようお伝えしています。
圧迫したりマッサージしない
脂肪注入後のバストは、極力刺激を控えるように注意してください。
特に、血流が妨げられたり脂肪が壊死してしまう恐れがあるため、圧迫は厳禁です。うつ伏せの体勢はまず避けてください。ワイヤー付きのブラジャーも3カ月は着用しないようにて、カップ付きタンクトップなど締め付けない下着を選びましょう。
マッサージも同様の理由でNGです。せっかく脂肪が塊りにならないよう注入しても、マッサージで寄せ集めてしまいかねません。しこりを作らないためにも、3カ月程度はバストを揉まないようにしてください。
脂肪注入豊胸で後悔せず、理想のバストを手に入れるために
脂肪注入豊胸は、確かに注入した脂肪が100%ボリュームになるわけではないため、思ったようにサイズアップできるか不安があるかもしれません。ただ、脂肪の質・ドクターの注入技術・術後の過ごし方次第で、最大限の効果を得ることができることは分かっています。逆に言えば、このコラムでお伝えしたことに注意してドクターを選んだり、術後を過ごしていただければ、脂肪注入豊胸後に後悔するような事態は避けられるはずです。
無料カウンセリングにお越しいただければ、どれくらいの効果が見込めるか、皮膚の質はもちろん、エコー検査で乳房内の状態も確認してお伝えすることが可能です。ぜひお気軽にご相談ください。
コラムのポイント
- 注入した脂肪の定着率は50~80%で、施術方法や体質によって変わる
- 脂肪を最大限に活かすためには、脂肪の質・注入技術にこだわるドクターを選ぶ
- 術後は脂肪の定着を妨げるダイエットや喫煙を控え、圧迫やマッサージも避ける
よくある質問
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脂肪注入豊胸後に胸が柔らかくなるまでにはどのくらいかかりますか?
1~3カ月くらいで柔らかくなってきます。
脂肪注入であっても、術後は急なボリュームアップに加え、麻酔液や腫れや内出血の影響から硬い触感で、不安になる方も少なくなりません。
ただ、腫れが落ち着いてくる1~2週間ほどで、強く内出血が出ていない部分から硬さがなくなっていきます。1か月後くらいには多くの人が柔らかさを実感し始め、脂肪が定着して仕上がる3カ月後には、触っても豊胸したことはわからなくなります。
出典
- 1 Keke Wang, et al. Lactation History Affects Postoperative Fat Volume Retention Rate in Autologous Fat Grafting Breast Augmentation. Aesthetic Plast Surg. 2021 Feb;45(1):118-126.
- 2 「コンデンスリッチファットの特徴」CRF協会サイト 2024年11月現在
- 3 Roger K Khouri, et al. Brava and autologous fat transfer is a safe and effective breast augmentation alternative: results of a 6-year, 81-patient, prospective multicenter study. Plast Reconstr Surg. 2012 May;129(5):1173-1187.
- 4 吉村 浩太郎 「体表の再建と再生医療」人工臓器, 2016年45巻1号 :78-84
- 5 Takanobu Mashiko, Kotaro Yoshimura. How does fat survive and remodel after grafting?. Clin Plast Surg. 2015 Apr;42(2):181-90.